キャンプにナイフは必要なの?
ナイフは不要なのでは?必要性を感じない。
当然で素朴な疑問だ。
結論から言えば、キャンプにナイフは必要ない。
専用の道具を用意すれば、ナイフなんぞ無くても困ることはないだろう。
オートキャンプで荷物に余裕があるのであれば、専門の道具を持っていたほうが便利だ。
それでも私はオートキャンプにナイフを持って行く。
それはなぜなのか。
ここではキャンプ歴の30年の筆者が、独自の見解でナイフについて語ります。
漠然とキャンプ用のナイフが欲しいと思っている人や、
キャンプでナイフって必要なのかと思う人にぜひ読んでほしい。
キャンプでのナイフの必要性
キャンプにナイフは必ずしも必要ではない。
料理をするなら包丁。
薪わりは鉈。
袋の開封やロープを切るならばハサミ。
専用の道具を使ったほうが便利で安全だ。
ではナイフを何に使うのか。
物を切るため?
たしかにその通りだが、筆者の見解は少し違う。
それは、モノを作るという楽しみを味わうためだ。
切るという行為の先にある目的。
(私の場合だが)モノを作るという行為そのものを楽しむために持って行く。
私たちはモノにあふれた消費社会の中で暮らしている。
生活に必要な物があった時、あなたはどうするだろうか。
少しだけ考えてみてほしい。
必要な物があれば、探して買う。
買うという答え。
そんな結論に到達した人が多いのではないだろうか。
便利で快適な道具が沢山発売されている現在。
お金さえ出せば優れた製品を手に入れることができる。
だが、買うという結論にいたる前に、
よければ作るという選択肢を考えてみてほしい。
もちろん作れない物は買うしかないのだが、
作るために様々なことを調べたり、考えることで知識と技術は向上する。
それはきっとあなたの自信につながります。
キャンプ場は自宅とは違い圧倒的に不便だ。
不便さを感じたとき、アウトドア用品を買うという答えに落ち着く前に、
作ることができないかどうかを考えてほしいのだ。
その不便さを解消するために、次回のキャンプで使う用品を探すのではない。
今、何かが作れないかを考える。
不便さを感じたその瞬間に何か作れないかを考えることが重要だ。
その不便さを解消するために、そこにある物で臨機応変に何かを作る。
問題を解決するために何かを生み出すという考えは、
現代社会で生きるために必要な能力なのではないだろうか。
創意工夫することで人は成長し自信を得る。
足りないものを、そこにあるモノを工夫して解消できないか。
もしもお子様と一緒にキャンプに行くのならば、子供と一緒に考えてほしい。
そこで得た経験と考え方は子供の教育にも良いハズだ。
お金を使わなくてもナイフと少しの技術があれば、
自分の手で必要なモノを生み出すことができるのだ。
ナイフはそんな必要なモノを作り出すための最も基本的な道具だ。
包丁で木を切るのは無理だが、ナイフなら可能だ。
鉈で料理をするのは困難だが、ナイフなら可能だ。
ナイフは専門の道具には劣る。
器用貧乏な道具だがそれ1本で様々な用途に使える。
切るということに特化したシンプルな道具。
ザックを担いでキャンプに行くなら、荷物を減らすために有効でしょう。
便利で快適なキャンプは誰もが求めることだ。
アウトドア用品を買うという答えで満足できる人には、ナイフは向いていない。
それでも何かを作ってみることは試してほしい。
何かを生み出すことに喜びを感じる人ならば、ナイフを持っていくだけできっとキャンプの楽しみが広がる。
ナイフの必要性は、不便さやモノ足りなないと思ったときに何かを生み出すことを助けてくれる。
1本備えておけば、様々な問題解決を助けてくれるでしょう。
ナイフの用途
キャンプでナイフを何に使っているのか。
ナイフの用途は、料理、ちょっとした加工(木を削る)、ロープを切る程度だ。
例えばペグを忘れたときに落ち木を削って作ったり、子供向けに竹トンボなどのおもちゃを作るなどだ。
その中でも、「木を削ってスプーンを作る」のは初心者のお試しに良いと思う。
便利な世の中で、手作りキットなるものが売られている。
ナイフ一本あれば気軽にできるので、気になる人はぜひトライしてほしい。
完全に暇つぶしだったが、私は夢中になった。
ヒノキの素材が堅く、手がマメだらけになったが、それでもやめられないほど夢中になった。
削るたびにヒノキの匂いがフワッと香り心地よい。
これにハマる人は、モノ作りに向いているのかもしれない。
何かを作るためにナイフを買うわけだが、ナイフをそのものを作ってしまうというのも面白い。
こちらは筆者が購入したわけではないが、気になっているので紹介しておこう。
ナイフの選び方
ここでは詳しく述べないが、ナイフの選び方についてもふれておこうと思う。
アウトドアナイフには、様々な種類がある。
ナイフの選び方を調べると、有名ブランドをおすすめする記事をよく見かける。
だがキャンプ用のナイフ選びで、最も大切な事は何に使うのかということ。
見た目や他人の評価を気にしてナイフを選ぶのも良いが、あまりおすすめしない。
なぜなら無くても困らない道具だから、それだと結局使わないのではないだろうか。
はやりナイフ選びで大切なことは何に使うのかということを先に考えてほしい。
料理をするならば、横幅の細いオピネルは確かに優秀だ。
薪を割ることをバトニングというが、その場合はモーラナイフなどがたしかによい。
私はナイフを4本所持している。
その中でも最もよく使うナイフが、実は無名ブランドの安物ナイフだ。
安いので無茶な使用ができる。
料理にも薪わりにも、木を削ることもこれ1本で充分だ。
料理も薪わりもやりずらいが不便を承知でこれを使っている。
何故か頑丈で、研ぎなおせば何度でも使える。
ちなみにオピネルのナイフを購入したが、料理用にはたしかに良い。
私は素材が炭素鋼(カーボン)の物を買ったが、上記の安物ナイフとは切れ味が段違いだ。
ただし、硬い木を削るような作業には不向きだと思う。
値段も2000円前後と安いので壊れても痛手は小さい。
柔らかく研ぎやすいので初心者に扱いやすい。
初めての1本目に買うならば、安くて様々な用途に使える万能型が良い。
とはいえ、ナイフの用途は広いだけに、オールマイティに便利に使えるナイフは存在しない。
だから、とにかく安い物を買って、いろいろな用途に使ってみるのがおすすめだ。
少しでも参考になればという点でおすすめポイントを書いておこう。
幅がやや厚めで、刃渡りが7cm~8cmくらいのものが、用途が広くてよいでしょう。
素材はステンレスが錆にくく初心者にはおすすめ。
また、いろんなブレードの形状がありますが、ドロップポイントと呼ばれる形状が比較的万能だ。
あとがき
少しは参考になっただろうか。
便利なアウトドア用品が沢山発売されている現代。
お金さえ出せば専用の優れた道具が手に入ってしまう。
私がキャンプを始めたばかりの頃は、とにかく便利な道具に興味を惹かれて買い揃えた。
荷物がどんどん増えていき、たしかにキャンプライフは快適になった。
膨大に増えたキャンプ道具を組み立てる作業の煩わしさを感じたとき、
私は気が付いた。
私がキャンプに行く理由は、
非日常を味わうということでは?
不便さそのものを楽しむことに意味があるのでは?
確かに快適なキャンプは心地よい。
だが慣れてくると何か物足りない。
あなたがもしもキャンプ初心者ならば、
キャンプそのものが新鮮で楽しいだろう。
ところが、慣れというのは怖いものだ。
キャンプに慣れてきたらより良い道具を揃えて、物欲を満足させることもよいだろう。
だが、私の場合は必要なモノを自作するという答えに喜びを感じる。
DIYにハマるのもそれが理由だろう。
キャンプの玄人たちが突き詰めた先にあるひとつの選択肢として、
ブッシュクラフトやサバイバルがある。
無人島キャンプなんてことをやる人もいるだろう。
それらに共通しているのは、
より不便な環境に向かっているということだ。
世の中の便利さや快適さが進めば進むほどに、
不便さがエンターテインメントとしての要素をもちあわせていく。
古来より人は必要性に応じて様々なモノを作ってきた。
今でこそ買うという選択肢があるが、本来モノ作りは人の神髄なのだと思う。
ナイフはそんなモノづくりを助けてくれる基本的なアイテムなのだ。